イベント内容
〓加害者との面接でお困りの現場の方に、朗報です.〓
DV防止法の施行以後、精神科クリニックや相談室に来所するDV加害者が増えており、加害者の心理療法の方法論に関する研修の必要性が高まっています。しかし、加害者は言い訳や自分の考えの正当化などにより変化しにくく、臨床家にとって独特な困難を感じさせます。
心理相談機関“メンタルサービスセンター”では、その代表・草柳和之が創案し体系化した、加害者の変化を促す有効なアプローチを、2001年5月より『DV加害者心理療法研修会(二日間)』を通して提供してきました。この研修会は毎回好評を得ており、参加者から、より発展した研修の要望が寄せられてきたため、2014年5月、この分野に関心ある臨床家が集まり、自主運営の研究会を立ち上げました。
本研究会の活動によって、日本の臨床家が加害者に対して効果的な面接ができるような“臨床力”の底上げに貢献していきたいと考えています。関心のある方のご参加をお待ちしております。
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●このアプローチは被害者支援との整合性を大切にしており、被害者の面接にも大いに役立ちます.
●こだわりの強い加害者クライエントを揺さぶり、臨床家のペースに持っていく面接スキルがあります.
●加害者クライエントの面接に関して、戸惑いなく確信をもった方針で運営できるようになります.
●本研究会で学ぶスキルの多くはbrief therapyの応用で、他の困難ケースの面接に広く活用できます.
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【次回例会(2019年)2/17のテーマ 「『適切な謝罪』を探求する」】
パートナー(被害者)にひどいことをして苦痛を与えた際に、加害者はしばしば謝ることがあります。しかし、被害者はは納得せずに不満を漏らしたり、加害者を責める、ということがありがちです。すると、謝っても許してくれない被害者に対して、加害者はそれを不満に思ったり、逆切れするという事態になり、好ましい結果が生まれないことが多いものです。
このような悪循環は、どのようなメカニズムで起きるのでしょうか。そもそも、被害者にとって、納得可能で、「適切な謝罪」と感じるような必要条件とは何なのでしょうか。ヒントは、被害者にとって不満に思える謝罪は、加害者にとって「自分が楽になるために謝っている」ことによって生ずる、という点です。
このような「被害-加害」関係では避けられない重大問題に対して、今回の研修会では、トラブル場面のロールプレイを紹介を通して、加害者を変化させる、意外にシンプルな発想のアプローチを提供します。乞うご期待ください。
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■関連論文:草柳和之「DV加害者更生プログラム-体系化された加害者の心理療法序論」
『こころの科学No.172/2013.11』(日本評論社)
:草柳和之「加害者臨床事始め、そしてDV加害者に特化した心理療法の構築へ」
『精神療法Vol.41,No.1/2015.2』(金剛出版)